2024年10月18日
- 認知行動療法
パニック症(パニック障害)の理解と改善のためのカウンセリング(認知行動療法)
こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター大阪店の岡村です。本日は「パニック症状の理解と改善方法」についてお話しします。パニック症状に悩む方が近年増加しており、突然の発作やそれに伴う不安が、生活の質に深刻な影響を及ぼすことがあります。本記事では、パニック症状の特徴や改善法について詳しく解説します。
パニック症とは?
パニック症(かつてはパニック障害と呼ばれていました)は、突発的に襲ってくる激しい不安や恐怖が主な特徴の疾患です。突然、息苦しさ、動悸、胸痛、めまい、震え、発汗などの身体的症状が現れ、時には「死んでしまうのではないか」と感じることもあります。これらの症状は通常、数分から30分ほど続くことが多く、非常に辛い体験です。
また、パニック発作がどこで発生するか予測できないため、次の発作への恐怖(予期不安)が生じ、それが生活全般に悪影響を及ぼすこともあります。この予期不安が強まると、発作が起きそうな場所や状況を避けるようになり、行動範囲が制限されるようになります。これを回避行動と呼びますが、これが続くと生活の自由がどんどん狭まり、日常生活に支障をきたすことがよくあります。
パニック症の主な症状
パニック症の代表的な症状には、以下のようなものがあります:
- 予期不安
一度発作を経験すると、「また発作が起こるかもしれない」と強い不安がつきまとうことがあります。これが日常生活に悪影響を与え、外出や人との交流を避けるようになるケースも多くあります。 - 回避行動
予期不安によって、発作が起こるかもしれない場所や状況を避ける行動を取るようになります。例えば、混雑した場所や公共交通機関を避けたり、人との集まりに参加しなくなるといった行動が見られます。これにより、社会的孤立が進み、さらに不安が強まることもあります。
認知行動療法(CBT)による効果的な改善法
パニック症の改善に最も効果的とされているのが**認知行動療法(CBT: Cognitive Behavioral Therapy)**です。CBTは、不安や恐怖の根本原因となる考え方や行動パターンに働きかけ、それを修正することで症状の改善を目指します。
認知の再構成
パニック発作中に「このまま死んでしまうのでは」「心臓が止まるかもしれない」というような否定的で現実的でない考え方に陥ることがよくあります。認知行動療法では、そうした思考の誤りを見つけ出し、それが現実的ではないことを理解するプロセスを通じて、不安を軽減していきます。
曝露療法(エクスポージャー)
曝露療法は、不安や恐怖を引き起こす状況に段階的に慣れることを目指す改善法です。例えば、電車に乗ることが怖いと感じている方に対しては、まず駅に行くことから始め、徐々に電車に乗る時間を延ばしていくという方法で、不安を少しずつ和らげていきます。最終的には、恐怖を克服し、発作が起こる可能性を減らすことを目指します。
呼吸法とリラクゼーション
パニック発作が起こる際には、身体が過剰に緊張し、呼吸が浅く速くなります。そのため、呼吸をコントロールし、身体のリラクゼーションを促す技法を身につけることが、発作時の対処法として重要です。こうしたテクニックを使って、発作が起こっても冷静さを保ち、不安や恐怖を軽減することが可能です。
パニック症を改善するためのステップ
CBTに基づくパニック症の改善には、以下のようなステップが含まれます。
- 思考の認識と修正
まず、自分がどのような思考パターンに陥りがちかを認識することが重要です。パニック症の方は、過剰な不安や恐怖を引き起こす思考の傾向を持つことが多いため、これを認識し、現実的に捉え直すことが改善の一歩となります。 - 行動の変化
次に、不安や恐怖を引き起こす状況を避けてしまう「回避行動」を減らしていくことが必要です。曝露療法を使いながら、少しずつ不安を感じる状況に慣れていくことで、行動範囲を広げていきます。 - リラクゼーションとストレス管理
パニック発作時に役立つ技法として、深呼吸やリラクゼーションを取り入れ、身体の緊張を和らげます。また、日常的なストレス管理も症状の予防に大いに役立ちます。
まとめ
パニック症は、突然の発作によって日常生活に深刻な影響を及ぼすことがありますが、適切なカウンセリングを受けることでその症状を管理し、日常生活を取り戻すことが可能です。認知行動療法は、パニック症の改善に非常に効果的な改善法であり、当センターではこの方法を用いて多くの方々のサポートを行っています。
認知行動療法カウンセリングセンター大阪店では、パニック症の改善を目的としたカウンセリングを提供しております。ぜひお気軽にご相談ください。
認知行動療法カウンセリングセンター大阪店
https://osaka.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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