2025年12月08日
- メンタルヘルス
50人未満の事業所でストレスチェック結果を生かす仕組みづくり/認知行動療法カウンセリングセンター大阪店
認知行動療法カウンセリングセンター大阪店のブログをご覧頂きましてありがとうございます。
ストレスチェック制度は、50人未満の小規模事業所にも義務化されました。
ただ、現場の声として多いのは次のような悩みです。
- 結果をどう活用すればいいのか分からない
- 個人面談だけでは組織の課題に踏み込めない
- 数字は出ても、改善策までつながらない
ストレスチェックは “改善の入口” にすぎません。
ここから先をどう設計するかによって、職場が「変わる」か、「元に戻る」かが決まります。
本記事では、小規模事業所だからこそ効果が出やすい
“仕組みづくり” の視点から、ストレスチェックを現場改善に生かす方法をお伝えします。
■ 小規模事業所は「一人の影響」が組織全体に広がりやすい
50人未満の職場では、日々のふるまいやコミュニケーションが、
そのまま職場の空気に反映されやすい特徴があります。
例えば、
- 一人の強い言動で場全体が緊張する
- 管理者の忙しさがそのままスタッフへ波及する
- 役割が偏ったまま固定化される
- 相談しづらい雰囲気が蓄積される
これらは決して「個人の性格」が原因とは限りません。
背景には、
- 業務量が限界を超えている
- 情報共有が追いついていない
- ルールが曖昧なまま習慣化している
- 「言っても変わらない」という諦めが広がっている
といった 環境要因の積み重なり が大きく関係しています。
行動は個人ではなく “環境” によって形づくられる。
この視点が、改善のスタートラインです。
■ 数字だけでは現場は見えない ― 実際のやり取りを把握する重要性
ストレスチェックの結果で
「人間関係に負担を抱えている割合が高い」
と表示されたとしても、その中身は事業所ごとに全く異なります。
- 報連相が滞っているのか
- 注意や依頼の伝え方が噛み合っていないのか
- 不満が共有されず孤立が起きているのか
- 誰にも相談できず抱え込みが起きているのか
数字だけでは、どれが問題の核心なのかは分かりません。
専門家として最も確実だと感じるのは、
数日ほど現場に滞在し、実際の行動や空気の流れを見ること
です。
「誰が何をしたか」よりも、
「どのような条件で行動が生まれているのか」を理解することが重要。
これは現場を見なければ分かりません。
■ 一般論では現場は動かない ― その職場で“実際に起きている現象”に合わせる
ストレスチェック後の支援では、
- コミュニケーション研修
- 個人面談
- 資料配布
といった汎用的な施策が多く見られます。
もちろん一定の効果はありますが、
小規模事業所で求められるのは、
“その職場の実態” に合わせた改善策
です。
一般論だけでは、
「結局、何を変えればいいのか」が曖昧なまま終わってしまいます。
■ 行動を変えるのは、注意ではなく「仕組み」
行動は、環境が整うことで自然と変わります。
例えば、当センターでは
私(代表)の机にゴミが溜まりやすいという課題がありました。
理屈では「捨てればいい」ですが、実際は続きません。
ところが、スタッフが机の横に大きめのゴミ箱を置いてくれたことで、
- 立ち上がらずに捨てられる
- 机に置きっぱなしにするのと同じ負担で行動できる
という“環境条件”が整い、自然と行動が変わりました。
職場改善も同じで、
「負担なく良い行動を選べる環境」を設計することが最も効果的 です。
注意や精神論ではなく、
行動が自然と生まれる仕組みをつくることが鍵になります。
■ 小規模事業所だからこそ、仕組みづくりの効果は大きい
小規模組織には、次のような強みがあります。
- 良い変化が一気に職場全体へ広がりやすい
- 意思決定が早く改善策を導入しやすい
- 一人ひとりに合わせた環境設計がしやすい
ストレスチェックは、
そのための “現状を理解する手がかり” にすぎません。
ここから先は、
現場の流れを把握し、その職場に合った仕組みを設計することが重要です。
■ Q&A
Q1. ストレスチェックの結果だけで改善策は決められますか?
A. 決められません。
結果は“入口”の情報であり、職場で何が起きているのかまでは分かりません。
実際のやり取りや行動の条件を把握することで、初めて改善策が明確になります。
Q2. 小規模事業所の場合、個人面談だけでも効果はありますか?
A. 個人面談は大切ですが、それだけでは不十分なことが多いです。
一人の行動が全体へ影響しやすいため、
環境・役割・情報共有など “仕組みの視点” を併せて検討する必要があります。
Q3. 外部の専門家を入れるメリットは何ですか?
A. 職場に慣れた内部では気づきにくい
「行動の条件」「環境のクセ」を客観的に把握できる点です。
改善策も一般論ではなく、その職場に合った“現場仕様”へ落とし込むことができます。
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