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こんにちは、大阪市天王寺区にある認知行動療法カウンセリングセンター大阪店代表の岡村です。今回は、性犯罪再発防止に役立つカウンセリング方法についてお話しします。性犯罪は、被害者やその周囲の人々に深刻な影響を及ぼすだけでなく、加害者自身にとっても再発リスクを抱える大きな問題です。再発を防ぐためには、加害者が自身の行動を深く理解し、健全な行動パターンを習得することが重要です。そのための効果的なアプローチとして、認知行動療法(CBT)が注目されています。

性犯罪の背景にある問題

性犯罪の背後には、単なる性的な衝動だけでなく、複数の心理的、社会的要因が絡んでいることが多いです。以下は、性犯罪の再発に影響を与える代表的な要因です。

1. 感情コントロールの欠如

性犯罪を行う人の多くは、自分の感情や衝動をコントロールできない傾向があります。怒り、不安、ストレスなどの感情を適切に処理できず、その結果として不適切な行動に走ってしまうことが少なくありません。

2. 性加害行動に影響する認知パターン

性犯罪加害者は、性加害行動に影響する認知を持っていることがあります。例えば、「被害者が同意していた」「自分には特別な権利がある」といった信念です。これらの性加害行動に影響する認知パターンが、再発のリスクを高める要因となります。

3. 社会的孤立や人間関係の問題

加害者が社会的に孤立していたり、健全な人間関係を築けていなかったりする場合、再犯のリスクが高まることがあります。社会的なサポートが不足していると、自己制御が難しくなり、再び問題行動を起こす可能性が高まります。

性犯罪再発防止に役立つ認知行動療法(CBT)

認知行動療法は、性犯罪の再発防止において非常に効果的なアプローチとして知られています。CBTは、個人の認知や行動パターンを修正し、再発リスクを低減することを目指します。以下のステップで進められることが一般的です。

1. 認知の修正

性犯罪を行う人が持つ性加害行動に影響する認知を見直し、正しい認知へと導くことが、CBTの重要な要素です。カウンセリングを通じて、「相手は拒否していた」「自分の行動は許されない」という現実的な認識を再構築することで、再発リスクを大幅に低減することができます。

2. 衝動コントロールの訓練

性犯罪を引き起こす衝動を抑えるために、衝動コントロールのスキルを身に付けることが重要です。例えば、深呼吸やリラクゼーション法、認知再構成などの方法を使い、衝動が高まったときに冷静に対処できる力を養います。

3. 感情処理の強化

性犯罪の背景には、怒りや孤独感といった強い感情が関与していることがあります。そのため、感情の処理方法を改善するための訓練も行います。カウンセリングを通じて、自分の感情を認識し、適切に表現する方法を学びます。

リラプス・プリベンションの導入

リラプス・プリベンション(再発防止介入)は、CBTを補完する形で導入され、再発リスクをより確実に抑えるための実践的なプログラムです。これは、性犯罪加害者が再犯に繋がりそうな状況を事前に認識し、それを防ぐための具体的な対策を講じることを目指しています。

1. トリガーの特定

リラプス・プリベンションでは、加害者が再犯に至る可能性が高い「トリガー」を特定します。トリガーは、感情的、状況的、環境的な要因に基づくもので、これらが加害者の再発行動に繋がるきっかけとなります。これらのトリガーを理解することで、加害者は再発のリスクが高まる状況に対処できるようになります。

2. 回避行動と対処スキルの学習

トリガーを特定した後は、それに対する回避行動や適切な対処スキルを学びます。例えば、特定の状況から距離を置く、サポートネットワークに助けを求める、リラクゼーション法を用いるなど、再発を防ぐための具体的な手段を身に付けます。

3. リスク状況への準備と対応

リラプス・プリベンションは、再発を避けるための具体的なシナリオを作成し、加害者が予期しないリスク状況に直面した際にどのように対処すべきかを事前に訓練します。これにより、実際の危機的状況においても冷静に対応し、再発を防ぐことが可能となります。

性犯罪の再発防止における支援の重要性

再発防止のためには、加害者が適切なカウンセリングを受け、自己理解とスキルを向上させることが欠かせません。性犯罪は、被害者に与える影響だけでなく、社会全体に広がる問題です。リラプス・プリベンションを含む認知行動療法は、再犯を防ぐために効果的な手段です。

まとめ

性犯罪の再発防止には、加害者が自己の行動を深く理解し、再発を防ぐための具体的なスキルを学ぶことが必要です。認知行動療法は、そのための強力なサポートとなります。認知行動療法カウンセリングセンター大阪店では、性犯罪の再発防止プログラムを提供しています。再発防止に取り組みたい方、またはご家族の方は、ぜひご相談ください。

認知行動療法カウンセリングセンター大阪店

https://osaka.cbt-mental.co.jp/

——筆者情報——

岡村優希

株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役

認知行動療法カウンセリングセンター代表

公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士

個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。

さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。

◆執筆書籍

「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版

「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房

◆テレビ出演

読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日

「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演

◆雑誌掲載

「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号

◆近年の講演実績

2024年2月21日

広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師

2023年2月9日

NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師

2022年7月6日

筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師

その他、学会発表多数

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