2025年12月03日
- メンタルヘルス
学校現場でのポジティブ行動支援/認知行動療法カウンセリングセンター大阪店
こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター大阪店です。
本日は、
「学校現場でのポジティブ行動支援(PBS)」をテーマにしたセミナーレポート をお届けします。
学校では、
- 授業中に落ち着けない
- 声かけが届きにくい
- 思わぬタイミングで動き出す
- 周囲との関わり方が難しい
など、日々多様な行動に向き合う場面があります。
これらは子どもの性格ではなく、
その時の環境・心身の状態・周囲の状況・相互作用 の中で自然に生まれるものであり、
誰かが悪いという話ではありません。
今回のセミナーは、
そうした行動が起きやすくなる背景を丁寧に理解し、
行動が育ちやすい環境を整える支援 を中心に学ぶ内容でした。
ポジティブ行動支援(PBS)とは
PBSは、行動をやめさせるのではなく、
✔ 行動が自然に落ち着きやすい環境を整える
✔ 子どもが取りやすい行動を少しずつ増やしていく
✔ その子が本来持っている力が発揮できるように支える
という考え方に基づく支援モデルです。
行動には「良い・悪い」といった評価ではなく、
その状況でそう動きやすくなる要因が重なっていることがある
という理解を大切にします。
ここでいう要因は、子どもが求めてやっているという意味ではなく、
- 周囲のにぎやかさ
- 課題の難易度
- 気持ちの揺れ
- 身体の疲れ
- 予定の変化
など、
環境の変化と子どもの状態が重なることで行動が出やすくなる
というニュートラルな捉え方です。
行動支援の中心は「叱る」ではなく
子どもが動きやすい状況をつくること
PBSでは、まず 行動を観察できる形で捉え直す ところから始まります。
例:
×「落ち着いていない」
→ 抽象的で支援が難しい
○「席を離れる回数が増えている」
→ 行動として把握でき、支援の方向が見える
そのうえで、
- 教室の準備や流れを分かりやすくする
- 次にすることを迷わないようにする
- できている小さな行動をその場で認める
- 心身の負荷が高い日は少しハードルを下げる
といった、
行動が穏やかに流れやすくなる環境づくりを重視します。
これは「褒めて伸ばす」ではなく、
行動科学に基づいた実証的な支援 です。
PBS×CBTで大切にする 背景の理解
従来、「問題行動にはメリット(報酬)があるから続く」と誤解されがちでしたが、
PBSとCBTが大切にしているのは以下のようなニュアンスです。
✦ 行動は「求めて行う」より
その状況で自然と出やすくなることが多い
つまり、
- わざと…
- 目的があって…
という意図的なものとして捉えるのではなく、
環境や体調、刺激、安心感の度合いなどの影響を受けて、
その行動が出やすくなっている と理解します。
セミナー講師の紹介
今回のセミナーでは、小児・学校領域に詳しい
大倉 雄一 先生 をお迎えしました。
大倉先生は、
行動は変えようとする対象ではなく、
自然と育つ環境を整えることで変化していくもの
という視点を一貫して示されており、
支援者の立場から見ても大きな安心感を与える内容でした。
主催者として印象に残ったこと
支援の焦点を 行動そのもの から
その子が動きやすい状況づくりへ移す ことで、
- 支援者のストレスが減る
- 子どもとの関係が安定する
- 教室の空気が落ち着きやすくなる
という変化が自然と生まれていくことが印象的でした。
参加者の声(一部)
- 「独学では理解しにくかったPBSがとても分かりやすかった」
- 「学校にいた頃に知っていれば、面接や支援がもっと楽になっていた」
- 「行動の背景を丁寧に説明してもらい、実践のイメージがついた」
- 「支援者自身がポジティブな視点を持つ大切さを実感した」
「もっと早く知りたかった」という声が多く、
学校現場のニーズの強さを改めて感じました。
よくある質問(深掘り版)
Q1.行動が強く出てしまう日、どうしたらいい?
→ PBSではできない日ではなく、
その子の負荷が高いサインが出ている日 と捉えます。
そうした日は、
- 刺激を減らす
- ハードルを下げる
- 流れをシンプルにする
- 落ち着ける時間をつくる
といった対応を行い、
再び取り組める状態を整えることを大切にします。
Q2.家庭でも使えますか?
→ はい。家庭・療育・放課後等デイサービスでも応用できます。
Q3.改善の基準は何ですか?
→ 「問題行動の減少」ではなく、
その子が自然に取りやすい行動が増えているか
を重視します。
また、学校生活への参加や関係の維持など、
生活全体の安定(QOL) が指標となります。
PBSやCBTの視点を用いたケース相談も行っています
学校での関わりに悩む先生や保護者の方へ、
大阪店では、PBSやCBTの考え方を取り入れた
個別ケース相談・環境調整の伴走支援 を行っています。
「行動の背景を整理したい」
「どう支援したら良いか迷っている」
という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
ご予約・アクセス(大阪店)
認知行動療法カウンセリングセンター大阪店
https://osaka.cbt-mental.co.jp/
〒543-0001
大阪府大阪市天王寺区上本町5-7-21 早川ビル303号室
(大阪上本町駅 徒歩2分)
登壇講師
大倉 雄一 先生
総合病院 勤務/大学/専門学校 講師/臨床心理士/公認心理師/精神保健福祉士
医療現場でのカウンセリング実践に加え、教育機関での心理学教育にも力を注ぎ、幅広い世代へのメンタルヘルス支援に携わっている。心の不調に対する正しい理解と相談しやすい環境づくりをテーマに、各地の市民講座・研修会などでも登壇多数。
アーカイブ視聴
▶ Peatix申込:https://peatix.com/event/4585736/view
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