2025年12月07日
- 認知行動療法
パニック発作との付き合い方のポイント/認知行動療法カウンセリングセンター大阪店
認知行動療法カウンセリングセンター大阪店のブログをご覧頂きありがとうございます。
パニック発作は、
「突然息ができないように感じる」
「心臓がドキッと跳ねて、倒れるかもしれないと感じる」
「めまい・ふらつきが一気に強まる」
といった身体反応が急激に高まり、
このまま危険なことが起きるのではないかという感覚に圧倒される状態を指します。
一度強い発作を経験すると、
「また起きたらどうしよう」
「外出先で発作が出たら困る」
といった予期不安が積み重なり、生活が狭くなりやすい特徴もあります。
今回は、認知行動療法(CBT)の視点から、
日常でできる「パニック発作との付き合い方のポイント」を整理します。
なお、パニック発作に似た症状は、心臓・呼吸器・自律神経など他の疾患でも起こる場合があります。
そのため、まずは医療機関(内科・心療内科・精神科)を受診し、身体的な問題がないかを確認された方が対象の内容となります。
1.最初の一歩は「自分が身体症状をどう評価しているか」に気づくこと
パニック発作そのものがつらいのはもちろんですが、
その後に続く
- 「またあの発作が来たらどうしよう」
- 「このドキドキは心臓の病気かもしれない」
- 「めまいがしたら倒れて迷惑をかける」
といった 評価や意味づけ が、不安を大きくしてしまうことが多くあります。
同じ「心臓がドキドキする」という反応でも、
- 「運動したからドキドキしているだけかもしれない」
- 「また発作の前ぶれだ。倒れるかもしれない」
と受け取るのとでは、その後の不安の強さが大きく変わります。
認知行動療法では、
身体の反応そのものと、
その反応を「どう受け止めているか(評価しているか)」
を分けて考えることから始めます。
「怖くないと思い込みましょう」という話ではなく、
- 自分はこのドキドキをどう理解しているのか
- どんなイメージや最悪のシナリオが頭に浮かんでいるのか
に気づいていくことが、付き合い方の第一歩になります。
2.「怖くない」と言い聞かせる必要はない
パニック発作を経験したことがある方にとって、
- 息が吸えない感じ
- 動悸
- めまい
が怖いのは、ある意味で当たり前のことです。
「これは怖くない」「気のせいだ」と自分に言い聞かせても、
かえって苦しくなることも少なくありません。
認知行動療法でやろうとしているのは、
- 「怖がらない自分」になること
ではなく、 - 怖さがあっても、少しずつ日常の行動を取り戻せるようにすること
- 「身体反応=すぐに取り返しのつかない事態」という結びつきを、ゆっくり緩めていくこと
です。
怖さを否定するのではなく、「怖さを抱えたままどう扱うか」を一緒に考えるイメージに近いかもしれません。
3.エクスポージャーは「簡単な練習」ではない
パニック症の認知行動療法では、
内部感覚エクスポージャー(Interoceptive Exposure) と呼ばれるものがよく使われます。
これは、
- めまい
- 息苦しさ
- 動悸
など、発作と結びつきやすい身体感覚を、
安全な環境で短時間だけ再現し、それに少しずつ慣れていくための練習です。
ただし、ここは大事なポイントですが、
- やってみると実際にはかなりしんどい
- 一回一回が小さな「挑戦」で、気力も体力も使う
という側面があります。
ですので、
- 「軽い気持ちでサクッとやれる練習」
ではなく、 - 「しんどさを分かったうえで、ペースを守りながら取り組むトレーニング」
として位置づけた方が、現実に近いと思います。
どんな準備が大切か
内部感覚エクスポージャーに取り組む前に、例えば次のようなことを一緒に整理します。
- 医師からパニック症と診断されているか
- その日の体調や睡眠など、コンディションはどうか
- どの感覚から、どの程度の強さで試してみるか
- 「今日はここまでにしよう」というラインを、自分でも決めておく
また、
- 「この練習をしたら、どれくらいしんどそうか(0〜100で予想)」
- 「やってみて実際どうだったか」
を記録しながら進めると、自分のペースがつかみやすくなります。
4.内部感覚エクスポージャーのイメージ(例)
ここではイメージとして代表的なものをいくつかご紹介します。
※以下は、医療機関で診断を受けた上で、
専門家と一緒に相談しながら進めていくことをおすすめします。
めまい・ふらつきに関わる練習の一例
- 首をゆっくり左右に振る(10〜30秒)
- 椅子に座ったまま、軽く回転する(数回だけ)
息苦しさに関わる練習の一例
- 息を軽く止めてみる(数秒〜自分の許容範囲まで)
- 少し早めの呼吸を数十秒だけ行う
動悸・体温上昇に関わる練習の一例
- その場で足踏みをする
- 軽くジャンプする
ここで大切なのは、
- 時間も回数も「少なめ」から始めてよいこと
- 途中で「今日はここまで」とやめる選択肢も常にあること
- うまくできなくても、それは「失敗」ではなく「情報が増えた」と捉えること
です。
一回一回のチャレンジがしんどいのは自然なことであり、「しんどいからこそ価値がある練習」といえます。
5.発作が起きたときの「評価」と「対処」のポイント
発作そのものが起きたとき、
「どう対処するか」と同じくらい大事なのが、
「今の体の状態をどう評価しているか」に気づくことです。
① 評価に気づく
例:
- 「このドキドキは心臓発作かもしれない」
- 「この息苦しさは窒息の前ぶれかもしれない」
こうした考えやイメージが浮かぶこと自体は自然です。
まずは、
「あ、今自分はこう評価しているな」
と気づくだけでも一歩です。
② そのうえでできる対処
- 呼吸を「ゆっくり吐くこと」から整えてみる
- その場で座ったり、壁にもたれたりして姿勢を安定させる
- 「今、倒れてはいない」「呼吸はできている」と、事実を確認してみる
これは、
「怖くない」と言い聞かせるためではなく、
怖さがある中で、
今ここで起きていることを少し丁寧に見直してみる
というイメージに近いかもしれません。
Q&A
Q1.パニック発作は治りますか?
多くの方が改善しています。
ポイントは、
・身体反応の理解
・予期不安への対応
・避けている場面への段階的な練習
などを組み合わせることです。
認知行動療法は国際的にも推奨されており、エビデンスがしっかりあります。
Q2.発作が起きたとき、どうしたらいいですか?
まずはゆっくり吐くを中心とした呼吸で整えつつ、
「この感覚は危険ではない」「時間とともに下がる」
という知識を思い出してください。
可能なら、体の変化を事実として観察する姿勢を持つと、より落ち着きやすくなります。
Q3.自分だけで内部感覚エクスポージャーをやっても大丈夫?
無理のない範囲であれば可能です。
ただし、
・感覚に慣れる手応えが掴みにくい
・途中で不安が強くなりすぎる
・やり方が合っているか不安
という場合は、専門家と一緒に進めた方が安全かつ効果的です。
大阪でパニック発作との付き合い方を相談したい方へ
認知行動療法カウンセリングセンター大阪店では、
- パニック発作
- 予期不安
- 広場恐怖(電車・高速道路・商業施設などが怖い状態)
に関するご相談をお受けしています。
「身体症状の怖さを、簡単に怖くないものと言い換えたくない」
という方も多くいらっしゃいます。
その怖さを前提にしながら、
- 自分がどう評価しているのかを整理し
- 無理のないペースで
- 少しずつ行動の範囲を取り戻していく
そんなサポートができればと考えています。
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