2024年11月22日
- 認知行動療法
不登校へのカウンセリング(認知行動療法)
こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター大阪店の岡村です。
今回は、当センターで行っている小中学生の不登校支援についてお話しします。不登校問題はここ数年で急増しており、多くの家庭や学校が向き合わなければならない重要な課題となっています。
文部科学省の統計によると、不登校状態にある小中学生は約34万人にも上り、この数値は10年連続で増加しています。この現状は、不登校が一部の子どもだけの問題ではなく、社会全体で解決すべきテーマであることを示しています。
当センターでは、不登校を単に「学校に行けない状態」として捉えるのではなく、その背景にある複雑な要因を深く理解し、個々の子どもに合った最適な支援を提供することを目指しています。特に**認知行動療法(CBT)**を活用し、子どもやそのご家族が抱える不安や悩みに寄り添い、日々を前向きに過ごせるようサポートしています。
この記事では、当センターの不登校支援に対する考え方と、具体的なカウンセリングの流れについて詳しく解説します。
不登校支援に対する当センターの考え方
1. 個別の背景を尊重
不登校の理由は子どもによってさまざまで、一つとして同じケースはありません。例えば、以下のような理由が挙げられます:
- 人間関係のストレス:友人や教師との関係性の悩み。
- 学習のプレッシャー:成績や勉強への不安。
- 過剰な努力や疲労:無理をして学校に通い続けた結果、不登校に至る場合もあります。
そのため、当センターでは「学校復帰」を唯一の目標とせず、子どもの状況やペースを尊重し、最適な選択肢を共に探すことを重視しています。学校復帰が目指せる場合もあれば、通信制教育やフリースクールなど、別の学びの場を探ることもあります。
2. 家族や学校との連携
不登校支援では、子ども自身へのアプローチだけでなく、家族や学校との連携も欠かせません。家庭内のコミュニケーションの改善や学校関係者との情報共有を通じて、子どもが安心できる環境づくりを目指します。
また、ご家族が抱える不安や疑問にも丁寧に対応し、家族全体で一丸となって子どもをサポートできるよう支援しています。
不登校支援の具体的な流れ
1. 状況の把握と現状整理
初回面談では、子どもや保護者の状況を丁寧にヒアリングし、不登校に至る背景や影響を整理します。以下のポイントを中心に進めます:
- 不登校のきっかけとその後の経過。
- 家庭での子どもの様子や生活リズム。
- 学校や友人との関係。
- 子どもの心理的な負担(不安やストレス)。
必要に応じて、医療機関や福祉機関とも連携し、発達特性や健康状態を含む包括的な評価を行います。この段階では、行動プランの作成ではなく、まずは現状を正確に理解することを優先します。
2. 目標の設定
現状を把握した後、子どもや保護者と一緒に短期・長期の目標を設定します。目標は状況に応じて柔軟に決定し、必要に応じて見直します:
- 学校復帰を目指す場合:段階的に通学準備を進める。
- 新しい学びの場を探す場合:通信教育やフリースクールを検討。
- 家庭生活の安定:生活リズムの改善や不安軽減を図る。
3. 行動計画の作成と実行
目標達成のための具体的な行動計画を立て、段階的に実行します。たとえば、学校復帰を目指す場合は以下のステップを採用します:
- 外出する習慣をつける。
- 家の周囲や学校近くを散歩する。
- 短時間だけ学校を訪問する。
これらの行動を少しずつ積み重ねることで、不安感を軽減し、自信を回復していきます。進行中の障壁にも柔軟に対応し、無理のない支援を続けます。
認知行動療法(CBT)の役割
1. 考え方や感情へのアプローチ
CBTでは、子どもが抱える不安や恐怖の背景にある考え方や感情に働きかけます。たとえば、「学校が怖い」と感じる場合、その感情がどこから来るのかを一緒に探り、現実的で柔軟な捉え方を学べるようサポートします。
2. エクスポージャー(段階的曝露法)
CBTの一環として、不安や恐怖を少しずつ克服するためのエクスポージャー(段階的曝露法)を用います:
- 家の玄関まで出る。
- 近所を散歩する。
- 学校の門まで行く。
このように、無理なく取り組める範囲でステップを踏み、不安を軽減していきます。
最後に
認知行動療法カウンセリングセンター大阪店では、不登校に悩むお子さまやご家族への専門的なカウンセリングを行っています。お子さま一人ひとりのペースを大切にし、学校復帰を急ぐのではなく、安心して過ごせる方法を一緒に探していきます。
また、当センターでは対面カウンセリングだけでなく、オンライン相談も対応していますので、遠方にお住まいの方や来所が難しい方でも安心してご利用いただけます。
「どうすればいいかわからない」「相談先が見つからない」とお悩みの方は、ぜひ一度当センターにご相談ください。
認知行動療法カウンセリングセンター大阪店
https://osaka.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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