2024年09月24日
- 認知行動療法
クレプトマニア(窃盗癖)へのカウンセリング(CBT)
こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター大阪店代表の岡村です。本日は、クレプトマニア(窃盗癖)と呼ばれる症状について、認知行動療法(CBT)によるアプローチをご紹介します。クレプトマニアは、必要がない物を繰り返し盗むという強い衝動に悩まされる障害で、自己制御が難しく、周囲とのトラブルや罪悪感を引き起こすことが多いですが、カウンセリングを通じて改善が可能です。
クレプトマニアとは?
クレプトマニアは、物が必要でないにもかかわらず、強い衝動に駆られて物を盗んでしまう障害です。この衝動は突然訪れ、理性では抑えきれないことが特徴です。盗んだ後には強い罪悪感や後悔を感じることが多く、クレプトマニアの方は自身の行動に悩みながらも、再び同じ行為を繰り返してしまうことがあります。
クレプトマニアの主な特徴
- 繰り返される衝動的な窃盗行為
クレプトマニアは、必要のない物でも盗みたいという強い衝動を感じ、それを実行してしまいます。これらの窃盗行為は、快楽や利益を目的としたものではなく、むしろ強迫的な行動とされています。 - 窃盗行為後の後悔と罪悪感
盗んだ後に罪悪感や後悔を強く感じるものの、その行動をやめることが難しいという状況に悩まされます。 - 盗みの行動を繰り返してしまう
窃盗行為を一度繰り返すことで、ストレスや不安が一時的に軽減されるため、再び衝動を感じるたびに同じ行動をしてしまう悪循環に陥ることが多いです。
認知行動療法(CBT)によるクレプトマニアへのアプローチ
認知行動療法(CBT)は、クレプトマニアに対して非常に有効なカウンセリング方法です。CBTでは、衝動的な行動の背景にある考え方や感情に働きかけ、行動をコントロールする力を育てることを目指します。以下に、具体的なアプローチをご紹介します。
1. 衝動のトリガーを理解する
クレプトマニアにおける窃盗行為の背後には、ストレスや不安といった心理的な要因が存在することが多いです。CBTでは、まずこれらの衝動のトリガーとなる状況や感情を特定し、理解することから始めます。たとえば、「仕事で大きなストレスを感じたときに盗みたくなる」など、衝動が湧き上がる場面を明確にすることで、衝動に対処するための具体的な対策が立てやすくなります。
2. 曝露反応妨害法(ERP)
クレプトマニアに対するCBTの一つとして、曝露反応妨害法(ERP)が用いられます。ERPでは、クレプトマニアの方が窃盗衝動を感じる場面に意図的に晒され、そこで窃盗行為を行わずにその場を乗り越える練習を行います。例えば、物を盗みたくなった時にその感情に気付きながらも、行動に移さずに耐える方法を練習します。これを繰り返すことで、衝動が次第に弱まっていくことが期待されます。
3. 認知再構成法
認知再構成法では、「盗みをしないとこの不安感やストレスは消えない」といった考えを柔軟にするためのサポートを行います。具体的には、「盗まなくても不安は自然と軽減される」という現実的な認識を育て、衝動を抑える力を強化していきます。このようにして、窃盗行為を行わなくても不安やストレスに対処できる方法を学びます。
4. ストレス管理と衝動コントロールのスキル習得
クレプトマニアの方にとって、衝動を感じた際にそれを抑えるスキルが非常に重要です。ストレス管理や衝動コントロールのスキルには、リラクゼーション法やマインドフルネス、深呼吸などが含まれます。こうしたスキルを活用することで、強い衝動を感じた際にも冷静に対処し、行動に移さずに済むようになります。
5. リラプス・プリベンション(再発予防)
クレプトマニアは、改善後でも再発のリスクが存在します。そのため、再発予防プランを構築し、再発の兆候を早期に察知し、適切に対処できる準備を整えておくことが大切です。特に、ストレスが増加した時や、孤独感を感じる場面など、再発しやすい状況を特定し、それに備えた対策を練っておくことが重要です。
家族や友人のサポート
クレプトマニアの改善には、家族や友人のサポートも大切です。周囲が理解を示し、非難せずにサポートすることで、本人がより安心して改善に取り組むことができます。例えば、クレプトマニアの方が衝動を感じてもそれを抑えた際には、しっかりとその努力を評価することが重要です。
まとめ
クレプトマニアは衝動制御が難しい障害ですが、認知行動療法(CBT)を通じて改善が期待できます。ERPや認知再構成、ストレス管理スキルの習得により、衝動的な窃盗行為をコントロールする力を養うことが可能です。沖縄県西原町の認知行動療法カウンセリングセンターでは、クレプトマニアに対するカウンセリングを提供しています。クレプトマニアに悩む方や、そのご家族はぜひ一度ご相談ください。
認知行動療法カウンセリングセンター大阪店
https://osaka.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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