2025年12月16日
- 認知行動療法
恐怖があるとき、カウンセリングで何ができるのか?/認知行動療法カウンセリングセンター大阪店
こんにちは。
認知行動療法カウンセリングセンター大阪店です。
「怖くてできないことがある」
「理由は分からないけれど、強い恐怖反応が出てしまう」
このようなご相談は、決して珍しいものではありません。
本記事では、恐怖に対してカウンセリングでは何ができるのかを、認知行動療法の考え方から整理してお伝えします。
1.恐怖は誰にでもある「正常な反応」
恐怖と一言でいっても、対象は人それぞれです。
- 人の視線
- 先端
- 雷
- 高い場所
- 車の運転
など、感じる対象は異なります。
恐怖心は本来、 「それは危険かもしれない」と私たちに知らせてくれる、生きていく上で必要な反応です。
そのため、恐怖そのものが悪いわけではありません。
ただし、
- 反応が過剰になっている
- 実際以上に危険を想像してしまう
この状態が続くと、日常生活に支障が出てきます。
2.恐怖は「予測」と「経験」で強くなる
恐怖が強くなっていく背景には、次のような流れがあります。
- 過去の嫌な体験
(例:強く怒られた経験から、人の視線が怖くなる) - 未知のものへの想像
- 危険を避け続けること
恐怖の対象に近づくと、人は自然と距離を取ろうとします。
たとえば、運転が怖い場合、
- 誰かに運転してもらう
- 電車やバスを使う
といった回避行動が増えます。
回避だけで生活が成り立つ間は、大きな問題になりません。
しかし回避が増えすぎると、「できないこと」が増え、生活の範囲が少しずつ狭くなっていきます。
この段階で、医療機関やカウンセリングを検討される方が多くなります。
3.医療とカウンセリングの違い
恐怖や不安に対しては、医療とカウンセリングで役割が異なります。
医療機関では主に、
- 薬物療法によって
- 不安や恐怖の強さそのものを下げる
というアプローチが取られます。
一方、認知行動療法のカウンセリングでは、
- 恐怖の受け止め方
- 恐怖がある中での行動の仕方
を整理しながら、
「恐怖があっても生活できる状態」を目指します。
4.恐怖をゼロにしようとすると、かえって苦しくなる
多くの方が、 「怖いからできない。だから怖さをなくしたい」 と考えます。
しかし、恐怖が完全にゼロになることは、ほとんどありません。
仮に運転恐怖と向き合ったとしても、 「まったく怖くなくなる」 という状態を目指すのは現実的ではありません。
むしろ、
- 怖いことは問題
- 不安がある=やってはいけない
という学習が進むと、恐怖と危険の結びつきが強まってしまいます。
5.目指すのは「怖さがあっても、なんとかなった」という経験
認知行動療法で重視するのは、
- 恐怖があっても行動できた
- 結果として「なんとかなった」と実感できた
という経験を、小さく積み重ねることです。
恐怖は、多くの場合「予測」で膨らみます。
回避を続けるほど、脳の危険センサーは過敏になり、
- 動悸
- 吐き気
- 震え
といった身体反応を強く出すようになります。
この身体反応が、 「やっぱり危険だ」 という確信をさらに強めてしまいます。
6.「直面すれば治る」は現実的ではない
「避けているから怖い。だから直面しましょう」
という説明を聞いたことがある方も多いかもしれません。
理屈としては正しいですが、 そのままでは実行できません。
実際には、
- 視線が怖くても外出はできている
- 不安があってもカウンセリングには来ている
など、完全に回避している人はほとんどいないのです。
この 「怖いけれど、できていること」 を意識的に積み重ねることが、現実的な支援になります。
7.高所恐怖の具体例
高い場所に行くと、
- 足が震える
- 心臓がドキドキする
といった強い身体反応が出ます。
これは、 「危険だから離れなさい」 という身体からの警報です。
ここで大切なのは、「教えてくれてありがとう。でも一緒に行ってみよう」という姿勢です。
実際に下を見続けても、 何分経っても何も起きない。
この経験を重ねることで、身体の反応は少しずつ落ち着いていきます。
次は、
- もう少し高い階
- 少し長い時間
といったように、今できていること+αを調整していきます。
8.恐怖の「中身」を細かく確認する
同じ恐怖でも、怖さのポイントは人によって異なります。
たとえば雷恐怖でも、
- 当たることが怖い
- 音が怖い
- 光が怖い
など、焦点はさまざまです。
ここを整理せずに進めると、 積み重ねの練習は成立しません。
9.運転恐怖の例
運転恐怖の場合も、まず
「何が一番怖いのか」
を明確にします。
たとえば、
- 不注意で事故を起こすことが怖い
のであれば、
- 見通しのよい道
- まっすぐ走るだけの区間
といった、負荷の低いところから始めます。
不安は次々に浮かびます。
これは消そうとするほど増えるため、 不安を浮かばせたまま「本当に起きるか」を確かめることがポイントになります。
10.まとめ
恐怖に対する認知行動療法の基本的な考え方は、次の通りです。
- 恐怖はなくすものではない
- 恐怖があっても行動できる経験を積む
- 小さく、具体的に、積み重ねる
- 何が怖いのかを丁寧に言語化する
恐怖は敵ではなく、
扱い方を学ぶ対象です。
カウンセリングでは、その整理と調整を一緒に行っていきます。
よくあるご質問(Q&A)
Q1.恐怖が強くても、カウンセリングは受けられますか?
はい、受けられます。
恐怖がある状態を前提に、今できていることから整理していきます。
Q2.無理に怖いことをさせられませんか?
無理に行うことはありません。
できる範囲やペースを相談しながら進めます。
Q3.恐怖はなくなりますか?
完全になくなるとは限りません。
ただし「怖さがあっても対応できる」状態を目指します。
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